2020年のフレッシュ-その3- 「だめです。ここでやめます」

PC2- ローソン道の駅グランテラス筑西店 17:15

 PC2のコンビニは、もともとは田畑であった場所を買い取って、2019年夏に道の駅と併設してオープンした。なので周りは真っ暗で、建物だけが照らされている。その光景は不自然で、実家近くの急造ロードサイドのことを思い出す。

 ようやく佐野ラーメンにありつけると思ったが、ずく*1もないので、コンビニ飯。最初は通過証明のレシートを貰いにいくつもりだけだったが、流れでパスタとおにぎりというガッツリした食事を買ってしまった。普段とは逆の考えでカロリー表示をじっと見る。

 座るところが見つからず、屋外に休憩用の屋根付きテーブルがチラホラあるので、寒空の元食べることにした。

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道の駅で寒空の元コンビニごはんを食べる光景。コタツで食べるアイスみたいにはいかない。つらい。

あたたかい。おいしい。言語能力が低下しているが、正直カロリーと塩分が取れればなんでも良いのである。食べ終わってコンビニに再び入りふと左側を見ると、イートインコーナーが堂々と鎮座していた。

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ちゃんとあたたかい場所で食べられる場所はあるのだが、誰も気づかなかった。

 40分休憩ののち、再スタート。

 ここから先はライトだけが頼りの世界。雨はじゃばじゃば降っているけれどもみんな段々ハイになっているのか「楽しくなってきた」とか言っている人もいる。お水飲んだら雨水より美味しい、幸せ。みたいな水準で行けば、この先どうとでもなる。

*2

 

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 県境のカントリーサインがなければ気づかなかったけれど、再び栃木へ。ルート上にパリ・ブレストが食べられるお店があることは知っている。ただ、そのお店の閉店時間はとっくに過ぎていることも知っている。兼定さんが昨日の夕食で「楽しいグルべだった」と半ば冗談で話していたが、結果そのとおりでここまでグルメとは無縁。「ゆるふわグルべ」とは対極の「コンビニ飯スタンプラリー自転車漕ぎ漕ぎマシーン」*3と化していることは間違いない。でもまぁ、とにかくそのときは、大休憩のための貯金を稼ぐことが1番だった。

PC3-ローソン館林青柳店 20:50

 あっという間の栃木県は終わり、渡良瀬川を超えて館林のローソンに着。ここでドリアをチンしてもらうも有料となったレジ袋を頼み忘れ、「ホントに熱いっすよ」というお兄さんの言葉通り、頭が回らない僕は熱いアツアツドリアを素手で受け取り変な声が出そうになった。なんだこれは。俺はリアクション芸人か。ここで20分の休憩。コンビニの軒先で立って食べるドリアには風情がある。

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床屋もポツンとある公衆電話もなかった。

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ストリートで食べるドリアは美味い。

 ローソンを出発すると、すぐ埼玉県に入る。利根川からアプローチだ!

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さいたまー!

 行田のあたりで、ならさんがルート上に心霊スポットの廃工場の横を通るということを教えてくれた。幽霊は見たくないけど、そういうものはあってほしい。

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気温は10度くらいなのです。コンビニトイレの水道水があたたかいという逆転現象。

 行田でゼリーフライ十万石饅頭陸王も無縁な我々は、熊谷を通過。雨が強くなって参りました。さむいぞ熊谷。

 

PC4-セブンイレブン東松山唐子店 22:50

 東松山セブンイレブンでこの先の作戦会議。

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飯能のココスか高尾のカラオケバンバンまで進むか。メンバーの姿を見るとすこし眠そうにしている人もいる。僕はがんばれば高尾まで行けると思ったが、飯能ココスへ行き食事と休憩を取る作戦に決定。結果これが正解だった。

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 数年ぶりに通る笛吹峠。

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 先頭のたなさんに続き、高麗川にかかる橋を渡る。と、突然グラベルが見えたのでスピードダウンして通過を試みる。ところが視界が上下に揺れる。工事中だ!

 なんとかクリアしたが、最後尾にいたリョウ君が止まるときにうまく行かず立ちコゲのような状態になってしまった。緊張が走る。特にケガや走れない状態でないことを確認。安堵して再スタートを切る。

 このあたりからリョウ君のペースが落ち始める。日高から飯能に登る一番の坂道では前方の二人についていけない。もう少しで休める。高尾まで行けると踏んだ僕も先程から眠気が少しずつ増している。まぶたが重い。目を瞑りたい。しばらくして、一段と目立つ黄色いココスの看板が視界に入った時は心底嬉しかった。スマホを開くと、日付は変わって0:25。スタートから15時間は経過していた。

 何を食べるかメニュー表を見て優柔不断に悩んでいるだけ、元気はあると思った。腹が減るなら大丈夫。リョウ君はかなりぐったりきていて、お粥を注文していた。自分の身を守ることで精一杯な状況の僕の横で、兼定さんがリョウ君に「どうする?胃腸薬飲む?」と声を掛けている。

 とりあえずはカロリーということで、マグロ丼とハンバーグのセットをチョイス。食べたら目を瞑って意識が遠のくのを待つ……が神経が高ぶっていて寝れない。通路挟んで隣のテーブルでは、地元のおねえさんが人生相談らしきものをしている。普段は気にならないことが全て気になってしまう。それでもテーブルにうつ伏せになり、ひとりだけのわずかな暗闇を作り出す。目を瞑っても、ストロボライトが常にチカチカしている感じ。それでも数分は半分意識が遠のいた。

 

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みんなキテる。

 

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深夜0時の食事。醤油を遠慮なくどばどばかけた。

いそいそとみんな、準備をはじめる。ひとり虚ろな顔のリョウ君が「だめです。ここでやめます」と言った。テーブルに置かれているお粥は半分しか減っていない。そこまでやられているとは。気づかなかった。走り出したらなんとかなるかもしれないが……。残念ながら、ここでひとり離脱することになってしまった。

 飯能でビジネスホテルを取り、帰宅することを決めたリョウ君と別れる。深夜1時半、4人はこの季節の関東平野にしては寒い、気温一桁台の路上へと駆け出す。

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*1:長野県の方言で、ざっくりやる気の意味と捉えてもらえればOK。使い方としては“ずく出す”とか

*2:まさに落武者魂というか。ちなみにさとーさんが起源だったはず。http://terrazilongestmarch.blog63.fc2.com/

*3:みいさんのこの慣用句に最近ハマっている