2020年のフレッシュ-その2- 「レインウェアと横浜家系」-

  おは軽井沢。朝6時半、目覚めてみるとぱらぱらと地面に水滴が当たる音で目が覚める。にらめっこしても天気予報は変わらない。*1。軽井沢の気温は7度ということでちょっとさむい。降水確率は90%、関東も夜半まで振り続ける。DNSをするチームも多数確認できた。でもまあ、これはもうどうしようもならないですなあと、割り切っていくことにする。

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 ホテルの朝食。とてもフレッシュ当日とは思えない絢爛さであった。小躍りする。着座すると最初にポタージュが出て、その後にフルーツ、ガレット等のプレート、最後にフレンチトーストが…みたいな。特にフレンチトーストがふわふわでお気に入り。お代わりを勧められ、もう一つご馳走になってしまった。くるしい。

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フレッシュ当日の朝食です。

 身支度をしてホテルを出ると一気に現実に引き戻される。これから24時間自ら望んで濡れ鼠になるとは奇妙な話しぞ。いや、雨は望んでいないけれども。出発するところで前述のNSCフロントおじさんに写真撮影を頼まれ、快諾。

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「こういう旅行客の写真を載せるとお客さんが来てくれる」とのこと。じゃんじゃん使ってくださいな。お礼の言葉を伝えてから、スタート地点へ急ぐ。

 

10月17日(土)-スタート地点 ファミリーマート ヤオトク軽井沢店- 0km 

8時50分にはみんなもうすでに到着していた。9時になったらレシートを確保するために買い物をするのだが、このあたりからみんなテンションが上がる。店内の音楽が少しスローに聴こえる。そわそわしながらふと、たなさんを見ると「七笑(木曽の地酒)」のボトルを手に持っているので笑ってしまった。それ、スタートで買うのねと。いったいどこに収納するつもりなのだろうか。安定感のあるたなさんだから、特に問題はなさそうだろう。

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 カウンドダウン。5、4、3、2、1……0!

午前9時。ここから長い24時間の旅が始まる。

 

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午前9時、レシート入手し記念撮影。「チームゆるふわグルべ」の24時間が始まる。

 スタートから1km弱でさっそく碓氷峠に辿り着く。ここから900m分下っていく。長野県にいたのはたったこの1kmだけだった。すぐ群馬県に入る。峠の下りは紅葉シーズン真っ只中で落ち葉だらけだ。ここで貯金を作りたいけれど、落車対策も兼ね、前走者とは少し間隔を開けてダウンヒルをする。ブレーキシューがみるみると削れていく。チーム最年少のリョウくんは、出発前にシューを新品にしたにも関わらずほぼ削れてしまっていた。それにしても寒い。スタート前に「碓氷の下りの寒さに耐えられそうにない」というツイートを読んだ記憶があるけれども、その気持ちは今イタイほど共感できる。*2寒くて「はぁぁぁっっ」とかよくわからない声が出る。

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 めがね橋で記念撮影をしてからは安中まで下り基調。とはいえ雨のせいで飛ばすこともできず、35km地点でおおよそ40分の貯金を確保するに至った程度。国道18号は渋滞もチラホラ。我々は予定通り旧中山道で回避。途中でならさんが「こんなにみんないったいどこに行くんや」と嘆いていたのが印象深い。

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高崎に入り、鼻高橋でだるまが乗っかかっているのを発見。確か高崎は日本三大だるま市のうちの一つだ。卒論でだるまのゆるキャラにお世話になっていた学生時代、そう教わったのを覚えている。今回は観光名所らしい場所は通らないし、道中飽きないようにこういう小ネタをできるだけ拾って楽しむことにしている。

 

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 それにしても先程からレインウェアがずり落ちてしまう。信号で、「なんかおかしくない?」とならさんから指摘をいただいた。股下をめくる……。「あれ?ゴム紐が後ろにあるじゃないか。どういうことだ……」と、ここで認めたくない事実を認める27歳。レインパンツを前後逆に履いていた。めたくたに恥ずかしい。幸い、PC1がすぐ近くだったので、そこで履き直すことにした。僕はお尻あたりに見えるモンベル のマークを忘れることはないだろう。そのまま伊勢崎駅から帰りたくなった。

 

-PC1 ローソン 伊勢崎大正寺町店-

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ここでの休止は15分と、リーダー兼定さんからの指示が入る。早速レインパンツを前後履き替える。急いで脱ごうとした時、下の動画を思い出した。なので慎重に座って脱いだ。たいへんよくできました。

www.youtube.com

 N2時代らしくしっかりマスクをつけて入店。トイレ、補給などの調整を済ませてしっかり15分で再スタート。10分ごとにローテーションをして、PC2の茨城まで走る。

 群馬も足利もスイスイ行けるだろうと思っていたら、かなりの信号の多さに難儀。とりわけ工場団地近郊は高速道路や住宅なども点在しているため信号がかなり多く、貯金の稼げない様はまさに信号峠といってもよい。それでもえっちらおっちら雨の中を走り続ける。

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 そうこうしているうちにもうお昼時だ。太田市あたりで山田うどんフライングガーデンに遭遇して北関東にいるという充足感に浸る。若鳥のうまいうまい焼きが食べたい。がここに寄る予定はない。久しぶりに行く地域だと、その地元の名店よりローカルチェーンが恋しくなる。

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 渡良瀬川*3経由で栃木県に入る。雨はぼたぼたと続く。一体何なん。降水量毎時1mmってこんなに降るっけ。どこのYahoo!天気予報だ。アスファルトの跳ね上がった雨水が口の中に入り、時折砂利の感触がする。大型トラックが横を通る時とかは特に。でもまあ致し方ない。ブルベ風情があってええじゃないかと割り切る。

 そうやって難儀しているうちに、ついに佐野市に入ったようだ。ビジネスライクな事務所を構えるゆるキャラ「さのまる」の姿でそのことに気づく。

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佐野ラーメンは?とちらっと時計を見て愕然。午後2時すぎあたり。まずい、間に合わない。結果、予め登録していた行きたい店には行けず、無情にもその横を通り過ぎていく。小三郎、日向屋、佐野らーめん417…。当然、ラーメン熱が高まる我々一行。諦めかけたその時、ならさんが「ラーメンだー!」と声を上げ、前方に指を差す。ついに希望の路が切り開かれたのか。我々の雨修行が実を結んだのか。その先に見えるは煌々と輝く深紅の看板「横浜家系 町田商店」。言うまでもなく通過した。

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佐野で唯一空いていた店が謎チェーンの家系ラーメン。我々の落胆は計り知れない。

 その後は淡々と走る。ただ、ずっと同じ風景で前に進んでいる感覚がしない。向かい風も相まってそう感じる。後ろの兼定さんからたまらず「次コンビニが左手に見えたら一旦休憩で!」とリクエストが入る。僕もそろそろ休みたかったのでありがたい。早めに手を打ったほうが後々引きずらないで済む。ここで20分の休憩。

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 財布はすでにビショビショで、お札はすでに使い物にならないので全てクレカ決済だ。雨のように泣いてやりたいくらい濡れ鼠だが、とりあえず人間を維持するためにトイレと食事を済ます。ぬれそぼった犬のように佇む中、コンビニの軒先で食べるフランクフルトは優しくあたたかいぬくもりがある。 

そういえば「おにぎりあたためますか?」と今日初めて聞かれた。山形では日常的だけど、他の地域はどうなんだろう。

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 先程の落胆を経て「佐野ラーメン食べたい!」から「ラーメン食べたい!」果ては「あたたかいもの!」に水準を下方修正して走る我々。次のPCは道の駅に併設されているコンビニだ。きっと佐野ラーメン風の店舗があるだろうと信じ込む。ようやくここで信号の数が減り、平均時速は上がった。もう空は薄暗い。貯金を稼いで、来たるべき長い闇を乗り越えるために頑張る。あと15時間走り続けるのだから。

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夜が来る。

 

 

 

 

*1:この日朝に聴いていたペトロールズの「雨」くらいにしっとりしていれば良かったのだけど https://youtu.be/smO6ZvcV0so 

*2:いぢちさん風に言えば、寒すぎてお手手がちんちんする。

*3:よくツイートされる公衆電話はこのすぐ近くだった。